先日、「南極日誌」という韓国映画のDVDを観ました。
探検隊員たちが、誰も到達したことのない南極到達不能点を目指すのですが、その道は険しく、途中で遭難してしまいます。
どのくらい進んだのだろうと場所を確認してみると、進んでるどころか、さっき歩いてきた場所なのです。丸一日歩いたというのに、進むどころか戻ってさえいるのです! 隊員たちの顔に疲れの色が見え始めます……。
何だかこの状況って……、
天中殺(てんちゅうさつ)みたいです。
いえ、まさにこの状態こそが天中殺なのです!
夢に向かって一生懸命努力をしているのに、努力がなかなか実を結ばないのです。
<どうしてうまくいかないのだろう……>
と焦れば焦るほど、迷い道に入り、夢を叶えるための方法も忘れ、自分は何を目指していたのかもさえも忘れ、結局、スタート地点に逆戻りということがよくあるのです。
天中殺は、過去に戻るという意味があります。過去にご縁のあった人と再会することがよくあります。
天中殺中に、突然、昔の恋人から電話がかかってきたとか、偶然どこかで会ったという話をよく聞きます。
焼けぼっくいに火がついたなんてこともよくある話です。未練を残したまま別れたほうは、一旦は喜んでヨリを戻しますが、天中殺が明ける頃になって、
<もう好きじゃないかも……>と思うこともよくあります。
別れを告げられた当時、毎日泣きはらして、必死に元恋人を忘れようとした自分を思い出します。いつの間にか、元恋人から卒業していたことに気づかされるのです。
「さようなら!」
ようやく本当のさよならを言うことができます。
天中殺は過去に戻りますから、過去に置き忘れた気持ちにケリをつけることもできるでしょう。また、思いがけない人に再会することで、過去に伝えられなかった感謝の気持ちを伝えることもできるかもしれません。
天中殺中は、仕事でも恋愛でも思い通りにいかず、
「うまくいかな~い!」
と嘆くこともあるかもしれませんが、何もかも順調な時より、精神的にずっとずっとたくさんのことを学んでいます。
ストレスなどで体調を崩すことで、健康のありがたみがわかります。
おかゆを作ってくれる、母親に感謝することができます。
仕事で嫌なことがあった時、帰る家があることに感謝することができます。
失恋したときに、友達に励まされることで、友達がいることに感謝することができるのです。
天中殺は、人間が成長するには、誰もが通らなければいけない必要な時間なのです。
さてさて、「南極日誌」の映画ですが、
隊長が天中殺なら、目的地点に到達できないかもしれません。
天中殺でないなら、目的地点に到達できるでしょう。